領域概要


本領域の目的

本研究領域では、蒸気にさらす、擦る、回すなどの極めて弱いマクロな刺激に応答して、発光や光学特性などの「目に見える」性質が変化する新奇物質群、「ソフトクリスタル」の学理の確立と、これに基づく全く新しい機能性素材の開拓を目的とします。「ソフトクリスタル」は、規則正しい結晶構造・周期構造を持つ安定な構造体でありながら、特定の弱い刺激で容易に構造変換や相転移を起こすことが特徴です(図1)。高秩序で柔軟な応答系である「ソフトクリスタル」の形成条件や相転移現象の解明は、分子科学技術における最も挑戦的課題の一つとも言え、この学理を打ち立てることで、従来型の結晶やソフトマターを超えた機能性材料を提供しうる新領域を創成することができると考えます。

図1.ソフトクリスタルの特長と例

本領域の内容

上記の目的を効果的に達成するために、次の三つの研究項目を立てて研究を推進します。

  • 研究項目A01 ソフトクリスタルの形態開拓
  • 研究項目A02 ソフトクリスタルの構造開拓
  • 研究項目A03 ソフトクリスタルの物性・機能開拓

研究項目A01では、金属間d-d相互作用や有機分子間相互作用、水素結合等を巧みに織り込むことにより、構成分子の形態を制御して様々な刺激に応答するソフトクリスタルの創製を行います。A02では、空隙を含めたソフトクリスタルの生成機構を理解するとともに、それらの構造開拓を中心に研究を推進します。A03では、精密な測定手段を用いてソフトクリスタルの物性解明を行います。また、様々な機能性材料との複合化や、関連する応用研究分野との融合により、ソフトクリスタルの新たな機能開拓にも挑戦します。項目を超えた共同研究を通してソフトクリスタルの学理確立と機能導出に取り組みます。

期待される成果と意義

近年、マクロで弱い刺激に鋭敏に応答して、発光や光学特性が変化する物質群が相次いで見いだされていますが、それらはセレンディピティやスクリーニングに頼っているのが現状です。複雑な相互作用を有する分子性結晶の形成条件や相転移現象の解明には様々な要因を総合的に考慮する必要があります。本領域において、物質創製、構造制御、物性解明、理論的アプローチ、機能導出の研究が連携してスパイラルアップすることにより、ソフトクリスタルの学理を世界に先駆けて確立できると考えられます。従来複雑と考えられてきた物質/現象の学理解明や設計原理の確立により、未踏機能材料開発への展開が期待できます。また、柔軟かつ高秩序な物質系というソフトクリスタルの特長を生かせば、これまでにない低刺激応答性材料や機能性材料の開発も期待できます(図2)。

図2. 研究基本戦略と期待される成果のまとめ

研究期間と研究経費

平成29年度-33年度
1,012,200千円